司法改革と獄中処遇改善の要望書(2009/10/2)

司法改革と獄中処遇改善の要望書
2009年10月2日      政治犯に対する不当な弾圧に反対する会
要望事項
1. 刑訴法255条時効停止規定の早急な見直しを!
①国外在留の時は時効を停止するという規定は、戦後直後の、海外渡航も自由にできなかった時代の産物である。今や国際的な司法協力・各国警察間の緊密な協力連携がいきわたっている時代・グロバール化の時代では事情が根本的に変わっている。時代遅れの規定である。改定の必要は制定時の担当者自体も認識していた。
255条の時効停止規定を廃止すべきである。
②時効停止規定は、無期限の規定であり、100年前の事件でも適用される事になる。これは時効規定自体を否定する。すぐには配しできないと言う事であれば、少なくとも、最低限、停止に期限をつけるべきである。無制限の適用は法を否定するものである。
2..時効廃止に反対する
  自公政権時代に法務省ポピュリズムを煽って時効廃止論を提起している。
被害者感情云々を隠れ蓑にして。
時効はなぜ必要かを冷静に論議すべきである。特に、被告側にとって、長年月の後の訴追は防御権・弁護の権利を基本的に奪われるに等しい。警察・検察は強大な権力を行使できるが、訴追される側の被告が反論しようにも、証言をえようとしても時間の経過により事実上不可能であり、権力側に一方的につごうのよい事態しか招来しない。
  冤罪の危険が大きすぎる。時効廃止論は警察・検察の権力強化と冤罪の発生を増大させるだけであり、反対すべきである。
3.裁判公開原則と言論の自由を圧殺する刑訴法281条の改悪条項を廃止せよ!
自民党(自公連立)長期独裁政権は打倒されたが、司法関係においてこの数十年、特に小泉改革の時期にひどい改悪が行なわれてきた。
その最たるものが裁判員制度であるが、同時に裁判員制度導入のための関連諸法でも改悪が行われてきた。
281条3・4・5項が特にひどい。
裁判記録・資料(検察側資料や録画した取調べのDVDなど)を弁護人と被告が閲覧することに限定し、公開することを禁止し、広く新聞・雑誌・テレビなどに公開した場合には罰せられるという規定が裁判員制度の導入にあたってこっそりと作られた。
これまで、松川事件・八海事件など戦後の多くの裁判では、捜査資料・事件の資料を広く公開・検討することによって、多くの冤罪事件が暴露され、無罪を勝ち取る事ができた。この規定が意味するところは、これらの国民の広範な裁判批判の声を圧殺することでああり、法廷を密室化して、裁判公開原則を踏みにじるものである。松川事件のような裁判批判はできなくなる。報道も禁止されるのであるから恐るべき言論弾圧法である。明らかに憲法違反の法律である。
281条の3・4・5項は至急廃止しなければならない。
4. 獄中処遇の改善を急げ!
ここ20年あまりで、死刑・無期懲役判決が激増し、獄中で死亡するケースが増えている。
ろくに治療も検査もしないのであるから、長期に拘留されていれば死亡する危険は獄外の何倍・何十倍にもなる。獄死は、法によらない死刑であり、密殺である。
獄中で病気に苦しみ、治療を求める重症患者が多数いる。
日本赤軍の丸岡修もその一人であり、刑の執行停止をして民間での治療を受けさせるべきである。刑務所や拘置所・警察留置場に拘留されている獄中者の現状調査を至急行なうべきである。調査は、刑務所当局者に任せるのでなく、第三者機関を中心に行なうべきである。
国際的な人権監視団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが、監獄の状況調査を申し入れているにも関わらず、日本の法務当局は拒否し続けてきた。調査・視察を至急許可すべきである。